MAKINUのスカーフ、ショールは、生地の段階から、その役目について深く考えて作られています。シルクが肌にやさしいのはもちろんですが、これまでの高品質なスカーフでは、どちらかというと光沢感のある、ゴージャスな印象をもたらす方向で生地が選ばれています。しかしMAKINUでは、シルクのクオリティの高さは当然のこととして、肌に触れたときの感覚を重視する方向を目指しました。そのため、特殊な製法、糸の撚り方を採用し、空気をより多く含む生地とすることで、軽く、なめらかで、ふんわりとした柔らかさを持ち、冬あたたかく、夏さわやかな、これまでにない触感を生み出しています。
MAKINUを生みだした山形県鶴岡市は、日本のシルク産業の北限の地でもあります。さらに遡って日本のシルクのルーツを考えていくと、2千年以上の歴史を持つ、シルクロードに思いが及びます。そして、日本の8世紀中頃の天平時代に、当時の日本の工芸品や、シルクロードからもたらされた世界の工芸品など、多数の宝物が収められているのが奈良の正倉院で、その中には織物や染物などの生地も多くあります。MAKINUでは、天平時代を彩った染織品に多く用いられ、その後の日本人の美意識に大きな影響を与えた、「正倉院文様」をモチーフに、デザインや色使いをモダナイズし、使用しています。
MAKINUのスカーフ、ショールは、手捺染(シルクスクリーン)という手法で染められています。これは、図案で使われている色ごとに版を作り、1色ずつ手摺りで色を重ねていく技法で、職人の高度な技術が注がれています。インクジェットのように生地の表にプリントするのではなく、インクを染み込ませていくため、表と裏で、色の出方が少し違います。この、昔ながらの技法を用いることで、MAKINUはただの柄のついた布ではなく、そこに込められた情熱や思いを感じていただくことができ、それこそがお使いになる方の愛着に変わっていくものだと考えています。
最近のスカーフの4辺は、多くの場合、ミシンで縫い付けられています。しかしそれでは、MAKINUが生地づくりから目指した、柔らかな風合いを得ることは出来ません。そこでMAKINUでは、ひと針ひと針、職人が生地を少しずつ手で巻き込みながら縫い付けていくまつり縫いの技法で、この4辺の縁を仕上げています。特に、角の部分を美しく仕上げるのは難しく、手間のかかる作業ですが、MAKINUはこういったディティールにも細やかなこだわりを持って1枚ずつのスカーフ、ショールに情熱を注いで作り上げています。